私が神と出会ったのはかれこれ15年ほど前の事でしょうか。初めて神の作品と出会った時の衝撃は忘れられません。泣くでもなく笑うでもなくその才能に嫉妬するでもなく、「何なのこの人のこの作品…」とただただボーゼンとしてしまったことを覚えています。ちなみに初めて神の作品と出会ったのは神ともう一人の合同誌だったのですが、その合同誌の相手のもう一人とは後に友達になり今でもつきあいがあったりします。彼女にとってもその人は神だったようで、合同誌を作った時は本当に緊張したと後に語っていました。
そうなのです。その合同誌相手と友人になってしまったわけで、実は神ともそのジャンルでちょっとした知り合いのような状態になってしまっていました。知り合いになろうがなんだろうが神は神。神が私に気さくに話しかけてくれるたびに「あなたは神なんだから私なんかとしゃべったらダメなのよ〜」と妙に焦ったり緊張したりして私は神とどうしても打ち解ける事が出来ませんでした。そしてその度に「神に失礼な事をしているなあ」という申し訳なさで凹んでしまうのでしたが、どうしても私は自分にある神との間の壁をなくすことが出来ませんでした。
私は神の本が欲しい。神の作品が読みたい。ていうか読まないと死ぬ。というわけでその後神がどのジャンルへ行こうとも私は追いかけました。神のはまったジャンルで神の同人誌を読んだ後にその影響で原作に手を出すなんてこともザラでした。神とは顔見知りになってしまったこともあり、神が大変気さくな性格だったこともあり、私が神のスペースに行くと「わー夜沙さん〜」といつも笑顔で新刊を下さいました。私はその好意を無碍に遠慮するのにも、かと言って当たり前に受け取るのにもどちらにも抵抗があり、毎回差し入れにそれなりのお菓子を買って持って行ったりしたものでした。
私にとって神だった人はすばらしい才能の持ち主でした。昔から私以外にも多くの信者を抱えているようでした。そして世間もそんな逸材をほっておくわけはなかったのです。
神がとあるジャンルにハマった時、そのジャンルが大ブレイクしたのをきっかけに神も大ブレイクしてしまったのです。神はあれよあれよという間に壁になり、本物の神になってしまいました。問題はそれからです。神のスペースに行こうにもそこは長蛇の列。神の本を手に入れる為に並ぶことは決して苦ではありませんでしたが、そうしてスペースにたどり着くと神に「なんで並んでんの?水臭いな〜」と言われて新刊を押し付けられてしまうのです。だからと言ってそんな列が出来ているところに横からスペースに「○○さーん」なんて行って並んでいる人の列を横目にのうのうと新刊ゲット出来るほどに私の心臓は強くはありませんでした。神がスペースにいないのを見計らって並んでも、並んでる最中に神が帰ってきて見つかってしまう可能性もあります。列がなくなる頃を見計らって行ってみたりもしましたが、すると今度はすでに完売で泣く泣く帰路につくことになり、しかし「午後から行くから私の分取って置いてね!」なんて頼めるほど仲良くもありません(いや、頼んだらきっと神は快く取って置いてくれたに違いないのだけれど……)。困り果てた私には、神に面の割れていない友達に頼み込み、影武者として列に並んでもらうしか方法がありませんでした(しかしその後その友人も神の信者になってしまったので、それはそれで良かったんだけど)
幸いな事にそんな苦労の時代は長く続きませんでした。神はスカウトされ商業作家になってしまったのです。
神は商業で忙しくなり同人誌から離れてしまいましたが、今、私は簡単に本屋で神の作品を買う事が出来るようになりました。ありがとう神に目をつけスカウトしてくれた編集の人!おかげで私は今こんなに楽チンだよ!
とまあそんなわけで、上記の経験から私が言えるアドバイスは
「本当の本当に神と呼べるほど好きな作家とは下手に知り合いになってはいけない」これです。
上記の例はまだ神相手ということで私の腰が引けていた為にそれほど仲良くならなかった&神があっという間に商業作家になってしまったというだけマシでした。好きな作家さんと仲良くなり〜その後仲たがいして疎遠になり〜人としてはもうつきあいたくはないけれど作品は読みたいのよ〜〜〜でもスペースに行って顔をあわせると気まずいのよ〜〜〜という事も長い同人歴の中で幾度かあり、その度に「作品が好きな人とはあまり近づかないのが良策だよなー」と思い知らされたものでした。しかしそんな事は言ってもそもそも同人誌界、知り合うきっかけがまずお互いの作品だったりするので、好きな作品を書く人を避けて通るというのは完全に孤高を保つようなもので難しいんですよね実際

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